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愛夢の罪は、霧崎悠人の死体損壊及び遺棄と、天宮杏子への傷害――いや、殺人未遂になるのかもしれない。
警察が愛夢の証言を元に捜査をして、彼女がやったこととそうでないことをわけてくれれば良いのだが。
(せめて、もう少し七瀬愛夢と話が出来ていたら……)
広原に連行されていった彼女。
その取り調べを行うのは、小柳のチームだろうかと八雲は考える。
「せめて腕の良い弁護士をつけてもらえるよう、お願いしておきますかね」
特に指定がなければ国選弁護人がつくことになる。
国選弁護人がついてからの弁護士の変更は、裁判所を通さなくてはならない。
八雲が何度目かのため息をついたとき、恵愛の目が開いた。
パチパチとまばたきを繰り返し、八雲の顔を見つける。
「八雲、さん?」
「ああ、起きたんですね。良かった」
目覚めた恵愛にホッと胸を撫で下ろす。
「急に動くのは良くないです。それなりに出血していましたし、まだ麻酔が効いているとは言え痛いでしょう」
八雲に言われ、恵愛は動くのをやめて顔だけ彼女の方に向けた。
「あの子はどうなりました?」
「七瀬愛夢は広原さんが連行しました。警察署で聴取されているんじゃないでしょうか」
「そうですか、良かった……」
八雲の言葉を聞き、肩の力が抜けたようだ。
まだ全てが解決したわけではないが、安心したのだろう。
「八雲さん、ありがとうございました」
「いえ、別に私は……いつもお世話になっていますし」
改まってお礼を言われ、八雲は困惑する。
何となく、居心地が悪い。
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