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――ザザッ。
ノイズが走り、強い憎悪が八雲のなかに流れ込んでくる。
吐き気に耐えながら、何とか踏みとどまった。
誰の記憶かはわからない。
憎悪と悪意に満ちた感情だけが、絡み付くように迫ってきた。
「花怜、天宮さんと隣の部屋へ。佐藤さんもそちらにお願いします」
八雲は指示を出す。
花怜以外の二人は、やや戸惑いながらも八雲に従った。
一番小さい箱をテーブルに置く。
冷蔵されているためかひんやりと冷たい。
事務机からカッターナイフを拝借し、段ボールの蓋を閉じているガムテープを切る。
「ああ……」
段ボールを開いた八雲の口から、辛うじて溢れた呟き。
それ以上、言葉がでないのだろう。
八雲が開けた段ボールの中身は、黄色の薔薇に埋もれた人間の頭部だった。
それも、少し前にSNSのアイコンで見た顔と同じ……霧崎悠人の首だ。
息を止め、吐き気を飲み込んで、八雲はその段ボールに蓋をする。
もう、他の段ボールを開ける気力など残っていなかった。
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