第2章 奈落への誘い

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四月の事件同様、犯人の目的が事件の鍵を握っているのだろう。 あの時、八雲は犯人自体に興味のない様子だったが今回は違う。 「八雲?」 黙ってうつむいていた彼女に透が声を掛ける。 「はい? なんですか」 顔を上げて透を見る。その目には複雑な感情の色が浮かんでいた。 普段捜査協力している県警とは違う刑事達に、協力していいのかを悩んでいるようでもある。 「少し糖分をとった方がいい。見たのなら疲れているだろう」 透はそう言ってスーツのポケットからチョコレートを取り出すと、八雲に手渡した。 受け取った箱からチョコレートを取りだし、口に放り込む。 「ミルクチョコレートって甘過ぎませんか?」 赤いパッケージのチョコレートは有名な製菓会社のものだったのだが、八雲には甘いらしい。 飲み物には砂糖を大量投入する彼女だが、チョコレートはビター派だった。 「ああ、でももやっとした気持ち悪さはなくなりました。ありがとうございます」 八雲が素直にお礼を言う。 どうやら、低血糖気味だったらしい。 フラッシュバックで過去を見ると大量のエネルギーを消費するようだ。
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