第2章 奈落への誘い

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メモを取り終えた小柳が何かを言いたげに八雲を見る。 だが、八雲は何も言わずに彼女を見返した。 「あなた、いったい何者なの?」 「はい?」 ため息をつきながら小柳が言った言葉に、八雲は頭に疑問符を浮かべる。 苛立たしげな小柳に、同僚の刑事が宥めるような視線を送った。 「警視庁から、あなたに本件への協力要請が出たそうよ。何でも、警察庁から直々に推薦があったのだとか」 苛立った様子のまま説明する小柳。 それでも、八雲の頭から疑問符がとれることはない。 地元の県警からならまだしも、警視庁や警察庁に知り合いはおらず、協力を求められる理由がわからなかった。 「八雲、スマホが鳴っているぞ」 小柳に目をつけられていたせいか、スマートフォンに着信があったことに気がつかなかったらしい。 慌ててスマートフォンを操作し、電話に出る。 「お待たせしました。どちら様ですか?」 いつもながら、電話に出る前に相手を確認しなかったらしい。 ディスプレイに名前が出ていたのだが、八雲はそれすら見ていなかった。
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