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メモを取り終えた小柳が何かを言いたげに八雲を見る。
だが、八雲は何も言わずに彼女を見返した。
「あなた、いったい何者なの?」
「はい?」
ため息をつきながら小柳が言った言葉に、八雲は頭に疑問符を浮かべる。
苛立たしげな小柳に、同僚の刑事が宥めるような視線を送った。
「警視庁から、あなたに本件への協力要請が出たそうよ。何でも、警察庁から直々に推薦があったのだとか」
苛立った様子のまま説明する小柳。
それでも、八雲の頭から疑問符がとれることはない。
地元の県警からならまだしも、警視庁や警察庁に知り合いはおらず、協力を求められる理由がわからなかった。
「八雲、スマホが鳴っているぞ」
小柳に目をつけられていたせいか、スマートフォンに着信があったことに気がつかなかったらしい。
慌ててスマートフォンを操作し、電話に出る。
「お待たせしました。どちら様ですか?」
いつもながら、電話に出る前に相手を確認しなかったらしい。
ディスプレイに名前が出ていたのだが、八雲はそれすら見ていなかった。
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