第2章 奈落への誘い

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小柳の視線が部屋に入ってきた人に移る。 「鳴神くん……」 「お久しぶりです、小柳さん。茨城県警捜査一課の鳴神恵愛(なるかみあやめ)です」 八雲たちと付き合いの長い、鳴神恵愛。 彼は小柳と旧知の仲のようだ。 恵愛は四月の事件で昇進し、警部補になってから八雲とは会っていない。 電話のやり取りがあっただけだ。 「なんで鳴神さんが?」 八雲が疑問を口にした。 今回の事件はストーカーも含めて東京都内で起こっている。 管轄は警視庁で、茨城県警の出番はないはずだ。 「こんばんは、八雲さん。有栖川先生も」 恵愛はまず二人に挨拶をした。 それから本題にはいる。 「別件で警視庁に来ていたところ、箱詰めのバラバラ死体が発見されたと一報があり……その第一発見者がお二人ということで自分も連れてきてもらいました」 詳しく話さないのは小柳たちがいる手前だろう。 そして恐らく、その別件と言うのは先月の事件が関係しているのではないかと八雲は考えた。
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