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だが、八雲はそんなことを気に止めずに口を開く。
「今から警察署で事情聴取ですか? それとも、明日になりますか?」
時刻はすでに九時を過ぎていた。
八雲や透はまだしも、花怜と杏子は未成年者なのだ。
時間がかかるのなら、日を改めた方が良いだろう。
「聴取は明日でも良いけれど……」
小柳はちらりと恵愛を見る。
何か言いたげな小柳に、恵愛は首を傾げた。
「ああ、茨城まで戻ると聴取に来るのが大変ですよね」
そして思い至ったようにそう呟くと、恵愛はちらりと八雲と透を見る。
「花怜もいますし、何処かホテルでも取りますよ。仕事はデータをまとめるだけですし、家に戻らずともできますから」
駅前のビジネスホテルでもネット予約しようと、八雲はスマートフォンを取り出した。
「もしよければ、私の実家に泊まりますか?」
「えっ……?」
スマートフォンを操作する八雲に恵愛が声をかける。
予想していなかった言葉に慌て、八雲はスマートフォンを取り落としてしまった。
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