第2章 奈落への誘い

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八雲が落としてしまったスマートフォンを拾ったのは小柳だった。 先程より更に目付きが険しくなっている。 (もしかして、小柳さんは……) 八雲はちらりと恵愛を見る。 視線に気づいた彼は八雲に微笑みかけた。 (いや、私じゃなくて!!) 心の中で突っ込み、逃げ場を探そうとするが、先程まで隣にいた透の姿がない。 「有栖川さんなら、事情聴取で署まで足を運んでもらっているわ」 小柳が言う。低めのトーンになってきた声が怖い。 そして、八雲が落としたスマートフォンを差し出してきた。 「ありがとうございます……」 八雲はひとまずお礼を言い、小柳からスマートフォンを受けとる。 メッセージアプリの通知が来ていた。 「わざわざメッセージ入れなくても直接言えば良いのに……」 メッセージを確認した八雲が呟く。 透は仕事の都合で、今日中に事情聴取を済ませて帰らなくてはならないらしい。
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