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八雲が落としてしまったスマートフォンを拾ったのは小柳だった。
先程より更に目付きが険しくなっている。
(もしかして、小柳さんは……)
八雲はちらりと恵愛を見る。
視線に気づいた彼は八雲に微笑みかけた。
(いや、私じゃなくて!!)
心の中で突っ込み、逃げ場を探そうとするが、先程まで隣にいた透の姿がない。
「有栖川さんなら、事情聴取で署まで足を運んでもらっているわ」
小柳が言う。低めのトーンになってきた声が怖い。
そして、八雲が落としたスマートフォンを差し出してきた。
「ありがとうございます……」
八雲はひとまずお礼を言い、小柳からスマートフォンを受けとる。
メッセージアプリの通知が来ていた。
「わざわざメッセージ入れなくても直接言えば良いのに……」
メッセージを確認した八雲が呟く。
透は仕事の都合で、今日中に事情聴取を済ませて帰らなくてはならないらしい。
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