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八雲はため息をついた。
簡単には逃げられなさそうなので、花怜に助けを求めようかと考えていると、部屋のドアが開いた。
「先生っ、ホテル予約してきましたよ! ついでに着替えも調達してきました」
花怜の姿と言葉に、八雲はほっと胸を撫で下ろす。
紙袋の中には少し多めに衣類が入っているようだ。
「駅前のホテルのスイートルームが空いていたのでそこを取りました。杏子ちゃんも一緒に泊まります。佐藤の伯父様から許可も貰ってます」
胸をそらし、花怜は自分のスマートフォンを八雲の目の前に差し出した。
ホームページから宿泊予約が取れたらしい。
「鳴神さん、せっかくのお誘いですけど花怜がこう言っているので。それじゃあ、私達はお暇しますね。明日の聴取、時間がわかれば連絡ください」
頭を下げたあと、小柳に名刺を渡した。
名刺には八雲のスマートフォンの番号がかかれている。
「連絡させてもらうわ」
小柳はぶっきらぼうにそれだけいうと、自分の仕事に戻っていく。
八雲は再びため息をついて、花怜たちと共にオフィスビルを出た。
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