第2章 奈落への誘い

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八雲はため息をついた。 簡単には逃げられなさそうなので、花怜に助けを求めようかと考えていると、部屋のドアが開いた。 「先生っ、ホテル予約してきましたよ! ついでに着替えも調達してきました」 花怜の姿と言葉に、八雲はほっと胸を撫で下ろす。 紙袋の中には少し多めに衣類が入っているようだ。 「駅前のホテルのスイートルームが空いていたのでそこを取りました。杏子ちゃんも一緒に泊まります。佐藤の伯父様から許可も貰ってます」 胸をそらし、花怜は自分のスマートフォンを八雲の目の前に差し出した。 ホームページから宿泊予約が取れたらしい。 「鳴神さん、せっかくのお誘いですけど花怜がこう言っているので。それじゃあ、私達はお(いとま)しますね。明日の聴取、時間がわかれば連絡ください」 頭を下げたあと、小柳に名刺を渡した。 名刺には八雲のスマートフォンの番号がかかれている。 「連絡させてもらうわ」 小柳はぶっきらぼうにそれだけいうと、自分の仕事に戻っていく。 八雲は再びため息をついて、花怜たちと共にオフィスビルを出た。
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