第3章 夜想曲は誰が為

4/12
前へ
/143ページ
次へ
八雲は着替えより先に入浴を済ませることにした。 ゲストである杏子に先に入ってもらうことにした。その次に花怜が入ることになった。 「私はいつもシャワーだけなので、最後で良いです」 遠慮していた杏子だが、八雲がそう言いきったので先に入浴している。 「ストーカー対策室の片瀬さんに、杏子ちゃんが突き落とされたビルが写っている防犯カメラを教えておきました。ちょっと距離はありますけど、拡大鮮明化すれば突き落とされた証拠になると思います」 八雲と透が小柳たちと話していたとき、隣室で花怜もまた捜査協力していたようだ。 ビルの場所を杏子に確認し、自分の記憶を辿って防犯カメラの位置を特定したらしい。 「相変わらず、花怜の瞬間記憶能力には驚かされますね」 たいして驚いたようでもない八雲だが、感心していた。 四月の事件ではほとんど活躍の場がなかったが、記憶力の良い花怜は有能な助手だ。 ただ、その記憶力の良さゆえに、八雲は遺体などを彼女に見せないよう配慮している。 一度目にしてしまったら、その全てが脳に刻み込まれてしまうのだから。
/143ページ

最初のコメントを投稿しよう!

141人が本棚に入れています
本棚に追加