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花怜の記憶力は視覚からの情報だけでなく、嗅覚、聴覚、触覚、味覚……五感全てで感じたものを正確に記憶する。
記憶というか、記録と言っても問題ないであろう正確さなのだ。
「花怜、ちょっと相談なんですけれど」
何か思うことがあったのか、八雲が口を開く。
「化粧で他人とそっくりな顔って作れますか?」
花怜への質問は、フラッシュバックで見た霧崎を解体する霧崎――どちらかがそっくりな人物だろう――それを踏まえてのことだ。
一卵性の双子は恐らくないと、八雲は考えている可能性から排除した。
花怜は首を傾げ、何かを考えている。
八雲の言いたいことが上手く伝わっていないようだ。
「ある人物やキャラクターに似せてメイクするってことは出来ると思いますけど、全く同じように再現するなるとどうなんだろう?」
メイクやコスプレが得意な花怜。
彼女は首を捻って考える。
「試しにやってみます?」
悩んだ末、そう答えた花怜の手にはメイク道具が握られていた。
自分でメイクを……という感じではなく、視線は八雲に向けられている。
八雲は少し悩んだ末、首を縦に振った。
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