第1章 追われる少女

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少女が目覚めるのを待っている間、八雲と透は早坂(はやさか)という女性警察官に転落時の状況を説明した。 透が見た男が関係している可能性も考え、その情報を他の警察官とも共有してもらえるようにお願いする。 そうしている間に少女が目覚めたようだ。 「う……んっ……」 口から漏れた小さな呻き声。閉じられていた瞼がゆっくりと開く。 何度か瞬きをした後、少女は慌てて起き上がった。 「急に動かない方が良い。気分が悪いとか、どこか痛いところはないか?」 医師でもある透が少女に話しかける。 少女は辺りを見回すと、病院だということに気付いたのか少し落ち着いたようだ。 「大丈夫です。ありがとうございます」 少女の声は小さかったが、良く通る声だった。 困ったように眉を寄せて俯く彼女に今度は八雲が口を開く。 「まず、あなたのお名前をうかがっても良いですか? 私は天神八雲、こちらは有栖川透」 怯えた様子の少女に、普段あまり見せることのない柔らかい微笑みを浮かべ、八雲は自己紹介をした。 名前を呼ばれた透も頭を下げ、お辞儀をする。 二人の丁寧な対応に、少女の顔から少しだけ不安の色が消えた。
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