第1章 追われる少女

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杏子の様子を見て、透と顔を見合わせた八雲はある可能性に思い至る。 「もしかして、追いかけられるのは今回が初めてではないのでしょうか?」 疑問形で訊ねている八雲だが、それは事実なのだろう。 杏子は目を閉じて俯くだけだ。 「ストーカー、と言うことかしら?」 早坂が結論を口にした。 それを聞いた杏子の肩が震える。 追いかけられて突き落とされただけでも怖いはずだ。 それが日常的にあったのだとしたら……。 「ストーカー案件だと、他の部署とも連携を取らないといけないわね」 早坂はそう言って部屋を出ていく。 警察署のストーカー対策の部署に連絡を取るためだろう。 部屋には杏子、八雲と透の三人になった。 俯いたままの杏子にかける言葉を探すが見つからない。 思案している八雲のスマートフォンに着信があった。 待ち合わせ場所で待ちぼうけをしている花怜からの電話だ。 慌てた八雲は透にスマートフォンを押し付ける。 花怜からの電話に出たいが、杏子を透と二人にするのも憚られたからだ。 透は八雲のスマートフォンを受け取り、通話のため外へと出ていった。
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