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第4章 ボーダーライン
翌朝、七時過ぎ。八雲は花怜に起こされ、重たい瞼を開いた。
協力を取り付けた鳴神恵愛との約束は八時頃。そろそろ支度をしなければならない時間だ。
「あー、もう! 先生ったら、ドライヤーかけずに寝ちゃいましたね。髪がボサボサ!」
八雲の髪にヘアミストをスプレーし、櫛を入れていく。
なかなか直らない髪に苦戦しながら、花怜はドライヤーを取り出した。
「力業で行きます」
ヘアミストをこれでもかと言うくらいかけ、ドライヤーを当てながら櫛をいれていく。
ヘアミストの水分とドライヤーの熱で、無理矢理髪を落ち着かせた。
「このまま、纏めちゃいます」
花怜はそう言って、艶を取り戻した八雲の髪を三つ編みにしていく。
ヘアゴムで留めたあと、シュシュを巻いてアクセントにした。
「さあ、八雲先生、顔を洗って着替えてください。そうしたら、メイクしていきますから!」
八雲は花怜に言われるままにバスルームで顔を洗い、昨日用意してもらった服に着替える。
ストライプの入ったシャツに、ベストタイプのジャケットを着た八雲は男装の麗人のようだ。
「ふふふっ」
ニヤニヤと笑いながら化粧品を並べていく花怜に軽く引きながら、八雲はされるがままになっていた。
化粧水、乳液のあと、下地を兼ねたリキッドファンデーションを塗る。
肌に馴染ませながら、軽くアイシャドウを引き、チーク、ルージュと手際よく塗っていく。
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