前と同じ部屋

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 片手で乳首を弄りながら、もう片方を舌で潰して柔らかく吸う。 「……ッ、ぅ……」  白坂は敏感な反応を隠すように眉を寄せて必死に声を噛み殺している。彼がここにきて弱点を隠そうとする姿が滑稽で仕方がない。彼が乳首が弱いことは随分前から知っている。 (そんなことをしても無駄なのに)  素知らぬ顔で赤く熟れた突起を丁寧に濡らしていく。  白坂は我慢できない様子で、広げた足を奏太の体に巻きつけて、下肢も触れてくれと無言で訴えてくる。  絡みついた足を払ってベルトを緩めてボトムを脱がしてやる。  下着越しに盛り上がった白坂の性器に目を奪われる。彼も期待するように腰を浮かして刺激を待っていた。しかし、それを無視するようにその浮いたへそにキスをした。 「ぁ……はぁ……ッ」  焦れったそうな吐息が漏れて、責めるような視線を寄越される。しかし明確な言葉にするつもりはないらしく、時折「おい」とか「なあ」という問いかけを無視し続けた。  投げ出された両足の親指が小刻みに擦りあっているのが見えて、奏太は動きを止めた。 「なにモジモジしてんの」 「ん……、もう……しつこいんだよ……」  忌々しく吐き出された声は熱で浮かされていて、目には涙まで溜めている。なのに、ここまで強がるのはなぜだろう。  奏太は一部だけ色が変わってしまった彼の下着に視線を落とした。 「そのわりには、もう濡れてんじゃん」 「……るせ……」  短く吐き出された悪態に軽く笑ったが、こちらは懇願されるまで先に進むつもりはない。寸止め状態の白坂は弾んだ息に言葉を途切れさせなから奏太を求める。 「好きじゃねぇんだ……、こういうの……。な、だから……」  早く欲しい。  そう、目で訴えてくる白坂はやっぱり卑怯だ。  下着のゴムに指をかけたが、続きを言うつもりのない彼に意地悪な気持ちが湧き上がる。  罰する気持ちで両手で乳首を強く摘んで捻った。 「好きじゃないだなんて、嘘だろ?」 「アッ! やっ……はぁ……ぁッ」  驚いたような高い嬌声を上げたと思ったら、体が陸に上がった魚みたいにビクビクッと跳ねて奏太から逃げようと体を拗らせた。  白坂は顔を真っ赤にさせて、呼吸を乱している。予想外の反応に奏太は目を丸くした。 「……え、ちょっとイった?」  下着のゴムを引っ張って中を覗くと勃起したままの性器にまとわりつくように糸を引く中に白いものが混じっていた。  先ほどの衝撃で少し達してしまったようだ。 「なんか白いの出てんだけど」 「あぅ……」  指を離すとゴムの引力で再び下着がまとわりつく。濡れた布が張り付く不快な音とともに白坂は間抜けな声を出した。 「もしかして、攻められるのが嫌で自分から来たの?」  白坂は何も答えない。  図星のようだ。  彼はただ耳まで真っ赤にして下を向いている。叱られるのを待つ子供のように小さくなっている彼の姿に奏太は今までにない感情を抱いた。 (……なんか可愛いな)
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