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【15、熱情】
*
心と体は、大体比例してると思う。
体だけ気持ち良いのはただの自慰行為で、心も体も同じぐらい気持ち良くならないと、多分、セックスしてるとは言えないんじゃないかと思う。
別に、ホテルなんてどこでも良かった。
すぐに彼女に触れたかった。
たった一週間、その肌のぬくもりから離れただけで、こんなにも恋しく思うなんて、俺自身が驚くぐらいだ。
この愛しさの熱情は、どちらかと言えば狂気に近い。
離れていた時間を埋めるように、舌を絡めて何度も深いキスをして、その白い肌に舌を這わせて、そこに彼女がいることを確かめる。
「んっ…」と圧し殺した声を上げた彼女を、指先で確かめると、驚くほど溢れていた。
「里佳子さん…こんなに俺としたかったの?ここ…凄いことになってる…」
その感触を確かめながら、彼女の耳元でわざと聞いた。
恥ずかしそうに俺にしがみついて、彼女は震える声で答えた。
「…んっ…し、した……かったよ……っあたし…っ、会いたかったよ……っ
樹くんに…っ…ぁっ」
びくんと体を震わせて、彼女は唇から甘い吐息を吐き出した。
声にならない声を上げた彼女の体が、ほんのりと赤く色付いていく。
「なぁ…?彼氏とした時も…こんなになったの?答えて…」
彼女の耳に舌を這わせて、またわざと聞いてみる。
彼女は、小さく首を横に振りながら消え入りそうな声で言った。
「なら…ないよっ…だって………信ちゃん、こんな事……っ
し、してくれない……もんっ」
俺は彼女の額にキスして、そのまま唇にもキスをした。
声が漏れるほどの深いキス。
舌を絡め、何度も何度も深いキスする。
指の先で彼女の中を触りながら、自分理性すら溶け出してくるのがわかった。
彼女の甘い矯声が耳の奥に響く。
びくんっと体を揺らして、「あっ」と声を上げた彼女が、大きく息を吐きながら俺の腕にしがみついた。
「もぉ……だめっ…やめ…っ、て」
恍惚の表情をした彼女が、俺の片手を握った。
その唇が俺の指先にキスをし、吐息ととも、柔らかい舌の先が、そのまま指先を舐める。
唇がやけに色っぽい。
そこにいるのは、いつもの地味で物静かな彼女じゃない。
理性が溶け出し、その心が求めるままに愛し合おうとする、本能からの『女』だ。
ここ数が月、多分、お互いにこの関係に溺れていた。
愛情なのか、依存なのか、もうどちらとも知れない。
だけど、感情が求め合うなら、それに従って求めて溺れて、死んでもいいとすら思う。
彼女の奥深くまでイキたい。
細い足を肩に引っかけるようにして、深い所までぐっと押し込めた時、彼女は、甘く響く高い声を上げた。
俺が今まで聞いた事のない、恍惚の矯声だった。
脳ミソの奥が、揺れるように熱くなっていく。
俺が欲しかったのはこの感覚だ…
俺だけじゃない、彼女と共有するこの快感だ…
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