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Kasumi's determination(香澄の決意)
東京都 香澄の自宅 2015年4月8日 午後10時00分
香澄が渡米することを決意してから数日後の夜――この日はあいにくの空模様となっており、夜になった今でも雨脚が強い。だが時折聞こえる〝ポツポツ”という音が、とても心地良い音色を奏でている。
フローラたちへアメリカに戻る旨を伝えたものの、香澄は自分の両親にそのことを伝えていなかった。このままでは日本を離れられないと思った香澄は事情を説明するため、両親を自分の部屋に招き事情を説明する。
「〝最近ワシントン大学である問題が起きているから、私の力を貸してほしい”とフローラから聞いた時は、私自身も正直驚きを隠せなかったわ――普通そういう問題が起きた時って警察に相談する、もしくは内々に処理するものでしょう?」
自分がアメリカへ戻りたいと決心した理由について、時折世間話をまじえながらも、香澄はしっかりと両親へ説明しようと意志を固める。とても大切な命を失ったためか、今日までの香澄はどこか暗い影を落としていた――それは家族全員で食卓を囲っている時でさえも、表情がどこか乏しいのが現状だった。
しかし今両親の目の前にいる香澄という女性は、そんな暗い印象をみじんも感じさせないほど、強い意志と決意を秘めているように見える。
「お父さんとお母さんには、私の本当の気持ちを知って欲しいと思っています。仮に私がフローラたちのお手伝いをしたとしても、心の問題がすぐに解決される――なんて虫のいいことは思っていません。むしろ私がお手伝いをしたら、逆に彼女たちが抱える問題が増えてしまうかもしれません」
香澄の言葉と気持ちを丁寧に聞き取りながらも、両親はまっすぐ彼女の顔を見つめ返す――至って険しい顔をしていたことから、香澄の話を快く思っていないのだろう。
そんな両親の心理を香澄なりに察しながらも、不器用ながらも自分の言葉でその本心を伝え続ける。
「自分にとって都合の良い解釈――って二人は思うかもしれないけれど、私は〝私のことを必要“だって言ってくれた、フローラたちの力になりたいんです。そして私は自分の出来る範囲内でフローラや親友たちへ協力して、その喜びや悲しみを共有したいと思っています!」
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