0人が本棚に入れています
本棚に追加
/6ページ
プロローグ
馬鹿みたい、と私は小さく呟いた。
文芸部室に届く感想用紙には、必ずと言って良い程『LiaR』の4文字が羅列されているのだから。
綴られているのは、どれも変わらず『LiaR』を賞賛する声ばかり。作品の意図を汲み取ろうともせず、ただ上辺だけの解釈で自己の欲求を満たそうとする。
...何もかもが、所詮は自己満足だ。小説を書くのも読むのも、ただ己の欲求に添えれば良いのだから。
ふと、自嘲するように息を吐く。
ああ、私は何をしているんだろう。
自分の想いをひた隠して、醜い願望を読者に押し付けて。
どうせ誰も見ないからって、本当の自分を押し殺して。
...その癖、誰かに助けてほしいなんて思ってたりもして。
でも、そんな事どうだって良い。
私は『LiaR』。
全てを偽って、嘘を吐き続ける人間。
最初のコメントを投稿しよう!