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序章 おとぎ話
むかしむかし、あるところに
双子の魔術師がおりました
双子は小さな村で仲良く暮らしていましたが
あるとき戦争が起きて
村と家族を失ってしまいました
双子はとても悲しみました
しかし双子は村の子供達の中では
一番お兄さんだったので
家族を亡くした他の子供達を
魔術で守ってあげました
双子はみんなで安全に暮らせる国を求めて
いろいろな土地を渡り歩きました
そしてみんなが寝静まると
双子は「戦争のない平和な国が欲しい」と
毎晩お星様にお祈りをしていました
あるとき、お星様が双子の願いを聞き届け
大きな水晶を授けてくれました
お星様は言いました
「この水晶の上に国を作りなさい
どんなに大きな力からも
この水晶が守ってくれます」
水晶には不思議な力が宿っていて
触れたものを宙に浮かせることが出来ました
喜ぶ双子に、お星様はこうも言いました
「この水晶の上に国を作ったら
絶対に戦争をしてはなりません
ひとたび争いに加われば
水晶の魔力は失われ
二度と飛べなくなるでしょう」
双子は絶対に戦争はしないことを
お星様と約束し、水晶の上に
小さなお城を建てました
空飛ぶお城で世界中を旅するうちに
彼らは自分達と同じように
国や家族を失くした子供達と出会いました
双子は子供達をお城に住まわせ
魔術を教えました
それは戦うためではなく
仲間を守るための魔術でした
やがて大人になった双子とその仲間達は
自分達だけではなく
地上の人々を守るためにも
魔術を使うようになりました
地上の人々は大いに感謝し
彼らに食料やお金を払うようになりました
地上の人々を守ることは
彼らの仕事になりました
こうして双子の国は少しずつ大きくなり
やがてこう呼ばれるようになりました──
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