火、――小さな炎。

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火、――小さな炎。

 二棟続きで借りている内の、町山君が寝ていない方のバンガローで、俺は朝を迎えた。  朝食を作るために先ず、炭火を起こす。 昨晩のは、さすがに炭が燃え尽きていて、火は完全に消えていた。  炭が燃料がなければ、火は燃えようがない。 燃料で、昨夜の町山君のことを、彼とのことを思い出した。  彼が焚き付けだったのは、疑いようもなかった。 彼が、すっかりと冷め切った硬い炭のような俺の心に、微かな火を、小さなちいさな炎を焚き付けたのだった。 ――ワクワクだかドキドキだか、あるいは、その両方だかは知らないが。  カボチャ入りの味噌味で、しかも不ぞろいな手打ち麵のために、まんまほうとうのようなうどん汁と、梅雨が長引いていて甘さが今一つのスイカを曇天の下で食べ終えて、片付けを始める。  タープテントは、男四人の手で協力して畳んだ。 そして、炭火の始末をする。
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