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腰を下ろすが、両足が震えている。
「中川さん、こっちを向いてください」
「は、はい?」
記者さんの声に合わせて、顔を巡らす。カメラで撮影されていた。そわついて、振り向けば、壁一面に“ナガツネ産業”と社名が、これでもかというくらい入っていた。
F1レースで優勝した選手が表彰台で立つ、背後にあるパネルのようだ。スポンサーの如く、ナガツネ産業の名前が、日本語、英語、ローマ字で書かれた、パネルが立てられていた。
僕をカメラで映したら、ナガツネ産業の会社名も入る。
写真撮影は終ったようだ。喉が異様に渇く。長机の上に置かれた、ミネラルウォーターを手にした。キャップを外して、そのまま口につけそうになった。
社長が目配せしてくれた。置かれていた空のグラスに注いで、一気に飲み干す。
「中川さん、UFOを最初やって来たときの状況を教えてください」
「寝てました」
「最初に、UFOを見たのはいつですか?」
「家の外でサイレンがしました。パトカーか消防車か分かりませんが、サイレンです。音がして飛び出たときです」
「中川さん、UFOを見たとき、どう思いましたか?」
「カプセルがいきなり自宅の屋根に落ち、刺さりました」
「今のご感想は?」
「水が欲しいです」
受け答えがかみ合わず、大変だった。
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