UFOが自宅にやってきたので、僕は日本庶民代表として外国の偉い人に会う羽目になった。

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 UFOから大音量で聞こえるのは、三世紀頃の日本語であり、友好的なあいさつをし、書簡の返事を求めているそうだ。  自衛隊が自宅や近所を調査したが、全く安全だそうだ。また、会社に政府の官僚の方、数人で訪ねてきた。 「アメリカの大統領と国連事務総長とEU議長と……」 「EUって何ですか?」  うっかり、日本国内の企業と勘違いしてしまった。ヨーロッパ連合だ。不勉強で、議長がいるとは知らなかった。とにかく、世界の偉い人が僕の家を訪問したいらしい。住人として、一応あいさつをするそうだ。  疲れそうで嫌なので、断ろうとしたが、隣に座る社長が受けてしまった。官僚たちが帰り、社長命令をうける。 「中川君、オーダメイドのスーツを用意するから、君が日本人の庶民代表として世界中のマスコミに映るんだよ。くれぐれも失礼のないように」  余計にプレッシャーがかかる。心臓が高鳴って足がふらつく。 「はい」  会社近くのそれまで入ったこともない、高級紳士服店に向う。オーダーメイドでスーツを注文した。会社が経費で落としてくれるそうだ。仕立ての良い、普段着も何着か作ってもらった。  自宅を訪問する外国の偉い方のドレスコードに合わせるそうだ。  会社に戻れば、電車通勤なのに、新車のワンボックスカーが用意されていた。会社名が大きく描かれていた。
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