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お姉ちゃん、放課後デートしよう。お昼ご飯を食べていると、唐突に送られてきた清花からのメッセージ。
どうしようか迷った。誘いを受けることは可能だ。娘の病状を上司に伝えているから、送り迎えの為に定時で上がることは確定している。
問題はそういう仕事の都合ではなくて、私と清花の関係それ自体。清花とデートなんてどこに連れて行けばいいのかわからない。
そうした色恋沙汰とか人間関係に疎いからこそ、こうして一人で娘を育てることになったのだし。
それ以前に、デートなんてしたら、ボロを出してしまいそうだ。朱雀のフリをしていたのがバレて清花に嫌われてしまうのは、とてつもなく辛いが、耐えられる。
だけど、そうなった時清花は朱雀の死に向かい合うことになる。それは清花が耐えられない。
そうした困難を飲み込んだ上で、デートをすることにした。日に日に強まって行く疑いの目を、どこかで大きくごまかしておかないといけない。このままだと築き上げた脆弱な虚構は崩れてしまうから。
だからこれは賭けだ。清花の見ている幻をどこまで、持続させられるか。その長さを決めるための。
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