倉科さん

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倉科さん

「一緒に、入りませんか?」  倉科さんの返事を聞いてから、店の扉を開ける。  カランコロン。  入店を知らせるベルの音が、今日は少しだけ、耳障りだった。 「いらっしゃい」  いつもの仏頂面で、マスターが言う。  わたしは、カウンターへ向かう。……いつものように。 「メロンソーダ、と……」 「わたしは、ブレンドコーヒー」 「ブレンドコーヒー。ホットで」  倉科さんは、一年中ホットのはず。 「イツカちゃんって……」 「は、はい」  どうしよう?  わたし、変なこと言ったかな? 「メロンソーダ飲むんだ。以外だわー」  何だ。そんなことか。
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