思い出

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思い出

 ホッとしたら。急に、懐かしさが湧いてきた。  不思議。病院関係の人と話すのは、苦手だったのに……。  倉科さんは、最近仕事を辞めた事。実家に帰る事などを話してくれた。 「実家で待ってくれてるのは、ペットだけなんだけどね」  自虐的だったけど、倉科さんは嬉しそうで。 「良かったです。待ってて、もらえるなら」  それは、本音だった。  わたしは、知っているから。待っていてくれる人の居ない、寂しさを。 「色々、ありがとう」 「こちらこそ、ありがとうございました」 「イツカちゃん」  去り際、倉科さんが振り返る。 「ありがとう。何も、言わずにいてくれて」 「え……?」
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