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第一章 三人の落ちこぼれ
「何か良い依頼があったか?」
ユリウス・ギルバートが椅子の背もたれに体を預けながら聞いた。
「まぁ……たいしたものじゃないけど」
僕、ロミオ・ヘントンは眺めていた一枚の紙をテーブルの上に置いて、二人に見える様にした。
「なんだ。またゴブリン? 前回のリベンジでもする気か?」
ロイ・ストーンは鼻で笑いながらそう言った。
文句を言われる事はこの依頼を選んだ時から予想出来ていた。
「……討伐系はこれしかなかったんだよ」
ユリウスは溜め息をつく。
「この前、ゴブリン討伐から逃げ帰ってきたのを忘れたのか?」
ユリウスならやっぱりその話しをしてくると思った。
「忘れてないよ。でもココを見て。『討伐もしくは住みかの特定』ってなってるだろ?」
ユリウスは小バカにしたような視線を僕を見る。
これはユリウスお決まりの表情と言って良いだろう。
確かに中々頭が切れるのは事実。でもその性格も中々だ。
「まさか住みかを見付けるだけで終わらせるつもり? そんなのその辺の子供にだって出来るよ。『ギルドアカデミー』出身の俺達がする仕事じゃない」
ユリウスは自惚れ屋でプライドが高いのだ。
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