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「良かった~! 今日登録して、今日は依頼受けられないって言うから諦めてたの!」
リリアンは跳び跳ねそうなほど喜んでそう言った。
僕としてもそこまで喜んでくれれば悪い気はしない。ユリウスさえ反対しなければ。
「ずっと引っ越し作業ばかりで、もうウンザリ! やっと憂さが晴らせるわ!」
リリアンは言いながら僕の二の腕を叩く。
出来れば僕に触るのは止めて欲しい。体中から熱と汗が吹き出し死にそうになる。
「やったね! ゴブリン退治なんて俺には物足りないから嫌だったけど、リリーの為に俺も一肌脱ぐよ! 君が望むならもっと脱ぐよ?」
ロイはそう言って自分の服に手をかけた。
そんなロイにリリアンは明らかな嫌悪感を示す。その反応は正解だよ。
「……あなたも一緒なの?」
やばい。このままだと雲行きが怪しくなる。
「だ、大丈夫! 他にもう一人居るし、その……多分大丈夫だから」
何故もう一人居ると大丈夫かは僕にも分からない。
「……良いわ。宜しくね」
リリアンが右手を差し出す。僕は慌てて自分の右手をズボンで拭いた。なんてたって僕の右手はビチャビチャだから。右手だけじゃないけど。
だが、またしてもリリアンの手を握ったのはロイだった。
「この可愛いお手手の為なら……手、意外に大きいね」
ロイは考えてから喋る事はしないのかと常々思う。
「そうなの。しつこく付き纏う男の手ぐらいは握りつぶせるのよ」
笑顔でそう言うリリアンにロイは手を引っ込めた。
ヤバい。彼女の返しは意外にツボかも。ついついニヤけてしまう。
そして僕はリリアンに好感を抱き始めてる。
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