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「それで今日、これからゴブリンの討伐に行く事になったんだ」
僕がそう言うとユリウスは不機嫌そうに答える。
「ゴブリンは縁起が悪いと言ったじゃないか」
「縁起なんか関係ないよ! ダン・フォードだってメイクーン星へ行く時に『行ってみりゃ分かる』って言ってたじゃないか!」
僕は『星間戦争』のセリフを持ち出す。
ユリウスは小説のキャラクターを敬愛している。きっとユリウスは食い付いて来るはずだ。
「おぉ。呪いと災いの星、メイクーン星! さて、ユリウスはどう出るかな?」
ロイは楽しそうに僕達の成り行きを見守ってる。
完全に他人事だ。
リリアンは何の話しをしているのか分からず、困惑している。
そうなるよね。
「ダン・フォードには頼れる相棒のウーピー・スタモアが居るじゃないか! 君達じゃ頼りない」
「だからリリアンに協力してもらうんじゃないか!」
僕がそう言うとユリウスはリリアンを値踏みする様に見る。
「装備は立派だけど初めて会う人だ。どれだけの腕前か分からないじゃん」
「君が『スカウトしたら』って言うから誘ってきたのに!」
「僕は彼女とパーティを組むのが嫌なんじゃない。次の依頼はゴブリン以外が良いって言ってるんだ」
ロイはそんな僕達のやり取りを笑って眺めている。
「ハハハッ。残念ながらユリウスのワガママが勝ちそうだね」
しかし何故ロイはこうも他人事なんだ。
「ロイだってリリアンと依頼受けたいだろ?」
「……もう少し一人で頑張って。見てる方が楽しいから」
そう。これが僕達の日常だ。
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