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かなりマニアックな話しをしてきたが、リリアンは引いてないだろうか。
「ゴメン。もうすぐ済むから。……まだ一緒に依頼受ける気ある?」
「私の事は気にしないで。何だったらまた次の機会でも良いし」
リリアンには本当に申し訳ない。だけど僕は諦めない。
頑張って勧誘してきたのだ。その努力を無駄にしたくない! それにまだ僕には武器がある。
「だったら来週の準備はバッチリなんだな?」
僕の言葉にユリウスは肩をすくめる。
「来週の準備って何さ?」
「来週は『宝石物語 三人の王』の下巻が発売されるんじゃなかった?」
ユリウスは目を見開き、僕を見た。
はい! 食い付いた!
伊達に君達と付き合ってないのだ。君達の操縦方法は心得ている! フハハハッ!
小説がと言うか、紙自体が高価なのでそれなりの金額がするのだ。
それに新しい小説を買えば、僕等にとって依頼なんて二の次。
それはそれは読みふける。
新刊ばかりじゃなく、シリーズ通して読み返す。
場合によっては他のシリーズにも手を伸ばし、依頼を数日受けないなんてザラだ。
だから小説を買う際、蓄えがあるに越したことはない。
「他の依頼を待ってて、それでお金が足り無くても貸さないからな?」
僕はユリウスにトドメを刺す。
「……行く」
ユリウスは立ち上がり、矢筒と弓を肩に掛けた。
僕は得意げな顔をするが、リリアンはずっとポカンとしたまま。
大丈夫。それが普通の反応だと思うよ。
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