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「良し。チョット声かけてくる!」
そう言ってロイは立ち上がると女性の方へ歩いていった。
ロイは女性と見たら手当たり次第、口説きにかかる。
以前はこっぴどくフラれるのを楽しみに見ていたが、最近はそうでもない。
ロイは迷惑な奴なのだ。
初対面の人であってもグイグイ行く。そしてどんな時でも下ネタを言う。
当然モテない。モテないどころか嫌われている。それでもロイは諦めない。
そしてギルドに苦情がいく。
だからロイがこのギルドを出禁になるのも近いらしいのだ。これは笑えない。
それでもロイは行く。ならば友として最後を見届けよう。
ロイが隣に来た時、女性は受付嬢から渡された書類に何やら書き込んでいた。
「やあ。調子はどう?」
ロイはにこやかな笑顔で女性に話し掛けている。
流石のロイもここは普通だな。
女性は少し驚いた様子も、直ぐに屈託のない笑顔を浮かべた。
取り付く島もない感じではなく良かった。それだと全くつまらなくなるからだ。
これは今後の展開に期待が持てる。
「調子? ええ。良いわよ。あなたは?」
「俺? 君のお陰で絶頂寸前さ!」
女性は一瞬、我が耳を疑ったようだ。良い! 良い感じだよ!
「君を一目見た時、ビビッとアンテナにきたよ。俺のビックなアンテナにね」
女性の顔から笑顔が消えていく。良し! これ殴らてもおかしく無いんじゃない?
「ところで他に依頼無いの?」
ユリウスはロイが殴られそうだって言うのに、良くそんな無関心で居られるな。
「さっきも言ったけど、他に討伐系は無いよ!」
頼むからロイの事に集中させてくれ!
そう言えばロイの事にはユリウスは絡んでこないな。
「止めなくて良いの? 本当にロイの奴、ココを出禁にされるよ?」
僕はユリウスに言う。彼がロイを止めてくれる可能性は一応ゼロじゃないとは思う。多分。
読んでいた小説から、チラッとロイの方をユリウスは見る。
「僕が出禁になる訳じゃないから大丈夫」
そう言うと思った。
「むしろ早く彼を出禁にすべきだと僕は思うよ」
一応ロイは君の仲間だぞ!
「……とは言っても、そう簡単に出禁にデキンのかな? フフッ」
ちなみにユリウスのダジャレは寒い。
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