第一章 三人の落ちこぼれ

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「良し。チョット声かけてくる!」  そう言ってロイは立ち上がると女性の方へ歩いていった。  ロイは女性と見たら手当たり次第、口説きにかかる。  以前はこっぴどくフラれるのを楽しみに見ていたが、最近はそうでもない。  ロイは迷惑な奴なのだ。  初対面の人であってもグイグイ行く。そしてどんな時でも下ネタを言う。  当然モテない。モテないどころか嫌われている。それでもロイは諦めない。  そしてギルドに苦情がいく。  だからロイがこのギルドを出禁になるのも近いらしいのだ。これは笑えない。  それでもロイは行く。ならば友として最後を見届けよう。  ロイが隣に来た時、女性は受付嬢から渡された書類に何やら書き込んでいた。 「やあ。調子はどう?」  ロイはにこやかな笑顔で女性に話し掛けている。  流石のロイもここは普通だな。  女性は少し驚いた様子も、直ぐに屈託のない笑顔を浮かべた。  取り付く島もない感じではなく良かった。それだと全くつまらなくなるからだ。  これは今後の展開に期待が持てる。 「調子? ええ。良いわよ。あなたは?」 「俺? 君のお陰で絶頂寸前さ!」  女性は一瞬、我が耳を疑ったようだ。良い! 良い感じだよ! 「君を一目見た時、ビビッとアンテナにきたよ。俺のビックなアンテナにね」  女性の顔から笑顔が消えていく。良し! これ殴らてもおかしく無いんじゃない? 「ところで他に依頼無いの?」  ユリウスはロイが殴られそうだって言うのに、良くそんな無関心で居られるな。 「さっきも言ったけど、他に討伐系は無いよ!」  頼むからロイの事に集中させてくれ!  そう言えばロイの事にはユリウスは絡んでこないな。 「止めなくて良いの? 本当にロイの奴、ココを出禁にされるよ?」  僕はユリウスに言う。彼がロイを止めてくれる可能性は一応ゼロじゃないとは思う。多分。  読んでいた小説から、チラッとロイの方をユリウスは見る。 「僕が出禁になる訳じゃないから大丈夫」  そう言うと思った。 「むしろ早く彼を出禁にすべきだと僕は思うよ」  一応ロイは君の仲間だぞ! 「……とは言っても、そう簡単に出禁にデキンのかな? フフッ」  ちなみにユリウスのダジャレは寒い。
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