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「それがロイに何の関係があるんだよ!」
何故分からないんだと言う風にユリウスは読んでいた小説を脇に置いた。
僕には何故そんな説明で伝わると思っているのかが分からない。
「良いかい? ロイが彼女を落としたら必然的にその穴も埋まるって事さ」
僕はそれを聞いて開いた口が塞がらなかった。まず前提が間違ってる。
「ロイが彼女を落とせると思う?」
「確率的には可能性があるよ。どんだけフラれ続けてると思うんだい? 良い加減そろそろロイでも良いって女性が現れても不思議じゃない」
確率で言えば……確かに無くも無い。ロイがフラれた回数を考えれば、そろそろ当たりを引く事もあるのかもしれない。
僕はユリウスの意見にも一理あると考え始めた。そしてもう一度彼女を見て、確信した。
「あの顔は絶対『ロイでも良い』って顔じゃないでしょ」
彼女は既に怒り爆発の一歩手前な様子だ。
「だったら止めてきて。それで君が勧誘してきて」
「僕がッ!?」
「そう。頑張って」
固まる僕を余所に、ユリウスは読書を再開した。
僕は怨めしそうにユリウスを見ながら立ち上がる。
ユリウスを巻き込んでやろうと思ったのが裏目に出た。
僕がロイ達の所へ行こうとした時、ユリウスに呼び止められた。
「Can you 勧誘?」
何だその笑顔は。黙って本読んでろ。
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