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「それで言ってやったんだ。夜は『ウォーリア』だぞってね!」
そんなロイの言葉を出来る限り受け流そうとしている努力が女性の表情に現れている。
僕はこんな最悪なタイミングで勧誘しなければならないのか。
こんな事なら最初からロイを止めておけば良かった。
チラリとユリウスを振り返るも、小説を読みながら完全に一人の世界に入っている。
僕はロイと女性の顔色を伺う。出来れば少しでも今よりマシなタイミングで間に入りたい。
「でも君が望むならベッドの上でも『ヒーラー』でいられるよ」
ロイは笑いながらそう言うと、女性の持っていたペンが悲鳴をあげ始めた。
もう殴るどころか下手すれば殺されかねない。僕は慌てて二人の間に割って入った。
「ロイ、ストップ!」
ロイはこれからが良いところだったのにと言った顔で僕を睨んだ。
言っておくが僕は君の命の恩人だからな!
女性はホッとしたように怒らせた肩を下ろす。
心の準備はまだだがとにかく話そう!
「あ……あの……その、友達が……すいません」
なぜ僕が謝らなければならないのか。もう緊張し過ぎて良く分からない。
「良いの。気にしてないわ」
女性は笑顔を取り戻してそう言った。きっとこの人は聖人の生まれ変わりに違いない。
「何だよ! 折角楽しくお喋りしてたのに! ねぇ?」
そう言うロイを女性が睨み付ける。それでもロイは女性にウィンクをして見せた。
流石だロイ。……君は出禁じゃなくて、国外追放が相応しい。
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