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「あの……僕、ロミオ・ヘントンと言います」
「私はリリアン・モリスよ。宜しく!」
リリアンは片手を差し出すとロイがその手を両手で包み込むように握る。
僕に対しての握手なんですけど?
「リリアンッ! 何て可愛い名前なんだ! 是非リリーって呼ばせてもらうよ!」
「……モリスでお願い」
この子の返し方、嫌いじゃないな。
「それで……こっちがロイ・ストーンです。あの……すいません」
「知ってるわ。四回位聞かされたから」
ロイが僕の耳元で囁く。
「俺の名前を印象付ける作戦なんだ。バッチリ覚えて貰ったみたい。グフフッ」
ロイの笑顔に僕は冷笑で応えてやる。
リリアンはロイの手を振りほどく。
「この街には昨日引っ越してきたの。それでギルドに登録しに来たわけ。これからも宜しくね」
リリアンに笑顔を向けられ、僕は会釈を返す。
女性から宜しくって言われたらどうしたら良いのか。
そうだ! 取り敢えず一緒にパーティを組んで貰わないと!
しかも早い方が良い。あまり僕らの悪い噂を聞く前に。
まぁロイの事は噂どころか、目の当たりにしてるけど。
「もし……良かったら、一緒に依頼でもどうかなって思って……駄目だよね」
「えっ!? 本当? もしかして今日とか行く予定ある?」
リリアンが嬉しそうな声をあげてそう言った。
この反応は全く予想していなかった。
「えっ……あの……」
リリアンの反応にドギマギしながら僕は考える。とりあえず、ゴブリンの依頼はまだあるがユリウス達には断られたし……良し、自分の心に従おう。
「あり……ます」
そう僕はYESマンだ! どうにでもなれ!
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