coffee

とある晩秋の寒い日。
隣で背中を向けて寝ている彼に手を伸ばし、彼の背中にくっついて寝た時の感覚を今でもはっきりと覚えている。

あの時の心が力を抜いたような感覚。
彼の体温が私にも伝わってくるようで、とても安心できた。
彼は半寝のままモゾモゾと私の手を引いてくれて、私を更に自身に寄せてくれた。
私は嬉しくなって、また少し彼を抱きしめた。
彼が小さな声で｢痛い｣と呟いたので、ごめんと一言添えて腕の力を緩めた。

あの夜は、もうそのあとは覚えていない。
気がついたら朝になっていたから、すぐに寝てしまったのだと気づいた。