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先生はそう決断し、私たちもその話に乗った。
「セイ。奴らのアジトは分かるのか?」
セイは少し渋っていたが、「あとで教えてやる」そう先生に答えた。
そして続けてこう言った。
「その代わり、この子借りるぞ」
セイは私の頭をガシッと掴んで、そのまま部屋を出ようとした。
「え?ちょっ…なに?」
戸惑っている私を見向きもせず、セイはそのまま別の部屋まで私を引っ張っていった。
「セイっ…!セイさ…ん!?」
足がもつれて転びそうになると、セイは私の腕を掴まえ、身体を支えてくれる。
「別に何もしやしねーよ。お前は…他のガキどもと様子が違ったから指名しただけだ。とりあえずついて来い」
頭から手が離れたかと思ったら、手首をきつく掴まれて、抵抗する気も無くなった。
この状況では私に使い道なんてない。
お茶でも淹れさせられるんだろうか……。
そう思っていたら、一番奥の部屋へと連れていかれた。
ドアを開けると、そこはガランとした空間。
3人掛けのソファが向かい合わせに置いてあり、その奥には机と椅子が並んでいた。
大きな窓にはカーテンが掛かっていて、戸棚がいくつか並んでいる以外に特に物はなかった。
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