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ドアを閉めると、セイはなぜか鍵をかけた。
ソファを勧められても不安でなかなか座る事が出来なかったが、セイに無理やり肩を掴まれて座らされた。
「お前は口が堅い方だと思ったんだが…俺の勘違いか?」
人からそんな事を言われた事も無いし、いちいち考えた事も無いから答えに困った。
「ど…うですか…ねぇ」
「大尉と一緒に追って行ったガキとは親密そうだな。他の奴らとは仲良くないのか?」
またおかしな質問をする。
「仲は…普通だと思いますけど」
椅子に座り、机に両肘をついたセイのその姿は、なんだか偉い人を見ているみたいだった。
たまに看守や大尉もそんな恰好で私たちを見ている時があった。
真剣な眼差しが私の心まで見透かそうとしているようで怖くなる。
「医者と大尉には内緒にできると約束するか?」
いったい何の話をしているのだろう。
内容も聞かされず約束をさせられるのは無理がある。
私は無意識に口を閉ざし、首を後ろに引いていた。
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