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「警察はこの情報を公開してないし、吹聴してるのはその叔父の方なんですよ。自分の不注意で子どもが行方不明になったって言うのに、普通こんな話します?
それに…警察の動きもおかしい気がするんですよね。行方不明になってるのに公開しないし、なんで今さら子どもの行方を気にするんですかね?」
そもそも、その行方不明になった少女というのは、家にいるんだが…と、思いながら、鏑木もまた食べかけのせんべいに再び手を伸ばす。
咲菜を自宅に住まわせている事はいずれ世間にもバレるだろう。隠していたって仕方ないし、咲菜の母親が無実かどうか確かめるためには世間の同情の声も必要だ。
一度有罪判決の出た事件でも、裁判員によっては罪が重くなったり軽くなったりする。
もしかしたら咲菜の母親も上告で罪が軽くなったり、もしくは無罪になる可能性もある。
「あ…そう言えば鏑木さん、明日のロケ大丈夫ですか?3泊4日の泊まりは久しぶりだから心配してるんですけど」
また突然話が変わって拍子抜けした。
土方はどうも話があっちこっちに飛ぶ習性がある。
そんな鏑木も論点がずれることがよくあるので他人の事は言えないのだけれど、土方はレベルが違う。
言いたいことが次から次へと頭に浮かんできて、今考えていることをすぐに言葉にしてしまうタイプ。
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