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「…分かるよ。詳しい事は知らないけど。確かにあなたの言う通り、頼っていい相手だとは思わないけど…俺には本土に知り合いなんていないから、大尉と先生を頼るしかないんだ」
男は鼻で笑いながら、ノートパソコンを閉じた。
「もっとお利口に話を進めようか、大尉。このガキでさえ自分の立場を理解してるんだ。あんたも自分の状況を理解しろよ」
大尉を牽制するように男はそう言ってテーブルの上に両足を乗せた。
靴の裏からぽろぽろと砂が落ちてテーブルに散らばる。曄は飲み物も飲んでいないのにゴクリと喉を鳴らしていた。
「脅してるわけじゃない。お互いの身が危険なんだ。協力は必要だろう?だとしたら…今は何をすべきだ?」
また男は俺を見てそう訊いた。
知るわけない。
俺は外の世界を知らないのだから。
本土がどんな場所で、どんな人たちが暮らしているのかも知らない。ネットで写真を見ただけじゃ、それが本当にある世界なのかも分からない。
ふと、この男も本土から来たんだよな…と思った。
「ねえ。本土ってどんなとこ?写真しか見た事ないんだ」
「へえ。写真は見たのか。先生が見せてくれたか?大尉はクソがつくほど真面目だから、そんな写真見せるはずねーな」
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