デジタル男 ―煌鵺―

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「おいおい…しばらく離れてる間に本土ではマイクロチップを義務化したのか?とんでもねーな……。しかし、そんな事やってる時間はねーよ。とりあえず本土に早急に向かいたいんだ」 大尉が男にそう訴えると、男は笑いながら首を横に振り、その場に立ち上がった。 「この島に来て無傷で出られると思ってんのか?奴らは気付いてるぞ。獲物が迷い込んできたことに」 窓の前に立つと、男は指先でカーテンを少しだけ持ち上げ、隙間から外の様子を窺っていた。 数秒後、ニヤリと持ち上げられた口角が一瞬で崩れ落ちる。 「朝までこの部屋から出るな」 真顔になった男はそれだけ言うと部屋を出て行った。 大尉も先生も顔を見合わせた後、ソファから立ち上がって窓の外をそっと覗いていた。 俺も近づいてカーテンの隙間から外を覗き見ると、まばゆいほどの街灯に照らされた地面に小さな人影が見えた。 ざっと5人ほどはいそうだ。 上を見上げながらステップを踏む姿を見れば、目的がこの階であることは明白だった。 住民はもうすでに寝静まっている真夜中にわざわざ部屋を訪ねてくる者などそう居ない。 「つけられたか?」 「どうかな…正直、後をつけられる理由なんて浮かばないけどな」 先生と大尉の会話を聞きながら、俺も考えていた。 この島では、人を殺すことに理由なんていらないんだ、と……。
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