ドレス ―曄―

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「きったないねぇ、あんたたち!よくこんな泥だらけの服で眠れたもんだね。私なら全身痒くて寝られないよ!」 朝早くに叩き起こされた子どもたちは、建物の駐車スペースに立たされてホースから出る冷たいシャワーを浴びせられ、キャーキャー声を上げていた。 真夜中に訊ねてきた見ず知らずの子どもを泊めてくれた女性の名はソミア。40代前半の細い人だった。 良い生活をできていないのか、肌のあちこちにシミやしわが目立ち、ボサボサの髪はあちこちで絡んでダマになっていた。 食事もろくにできないのか、手首の骨の形がくっきりと分かるほど肉がついていない。 「ほら、しっかり頭と体を洗いな。そんなんじゃ服も着せてやんないよ!」 先にシャワーを浴びた男の子たちは部屋に戻ってしまったが、女の子の方が人数が多いからその分水も使うし時間も使う。 身体中せっけんで洗い流した後、17歳の紗々と14歳の留美に先に着替えをさせて、その間に私は5歳の真尋の着替えを手伝っていた。 バスタオルを巻いているとはいえ、いつ人が来るかもしれない駐車スペースで子どもの世話をするのは恥ずかしい。 着替えを終えて戻ってきた紗々が、私の代わりに真尋の着替えを手伝ってくれた。 しかし、ふと紗々が着ている服が気になって視線を向けた。
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