214人が本棚に入れています
本棚に追加
着替えを終えて上の階に戻ると、食卓にはたくさんの料理が並べられていた。
どれもレトルト食品を皿に乗せただけに見えるけど、私たちにとってはご馳走だ。
お肉や魚、見た事のない食べ物がいっぱいあった。
ソミアはかいがいしく子どもたちの世話を焼いてくれるから、私も煌鵺も安心して任せていられた。
同じく食卓についていた吉井先生と大尉の正面に私と煌鵺が座ると、二人が私たちに視線を向けた。
眠っていないのか、疲れた顔……。
「先生たちはあの男性を知っているんですよね?」
私が訊くと二人は視線を伏せた。
犯罪者が住む島でたった一人、明かりのついた豪邸に住む男と知り合いか…そう訊いて、簡単に答えてくれるとは思っていなかった。
きっと特別な何かがある人なんだ。 外の世界を知らない私だってそれくらいの見当はつく。
「アイツの名前は星。この島に住む数少ない富豪だよ。この辺一帯、アイツの土地だ。住民はアイツに家賃を払って部屋を借りてる。この島で生きるにはアイツの援助が必要なんだよ」
大尉はカチャカチャと音を立てながらフォークを使って目玉焼きを頬張り、私たちに視線を向けることなくそう答えてくれた。
最初のコメントを投稿しよう!