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そんな騒々しいリビングにセイが入ってくると、両手を叩いて注目を集めた。
「皆さん、おはよう。今日はみんなに畑を手伝ってもらいたい。食事も寝床も提供しているんだ、それくらい手伝ったってバチは当たらないだろう?」
セイは大尉の顔を覗き込んでそう言った。
苛立っても殴り返したりできないのは、この島に自分たちの居場所がない事を大尉も先生も分かっているから。
私たちはセイの言葉を黙って受け入れるしかなかった。
食事を終えて畑仕事を手伝う準備をしていると、セイが私と煌鵺と生吹の3人を呼び出した。
他の子どもたちはソミアに連れられて畑へ行ってしまい、私と煌鵺と生吹はセイに連れられて先生と大尉がいる部屋へとやってきた。
ソファに腰掛けた大尉は難しそうな顔をし、先生は青白い顔をしている。
「秘密を共有する相手は口が堅い方がいい。それに、動きの機敏な相手なら尚安心だ。お前たちはこれから俺が話す事を秘密にできるか?」
セイにそう訊かれ、私は一瞬身体を硬直させたが、我に返って頷いた。
煌鵺と生吹も頷き、私たちはソファに座るよう勧められた。
私を真ん中にして3人でソファに座ると、生吹は私をチラチラと見ながらゴクリと唾を飲み込んだ。
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