ドレス ―曄―

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生吹とはあまり話したことが無かった。煌鵺も生吹の生意気な話し方が嫌いだと言って二人で殴り合いをしたこともあったし、仲はそれほど良くないのだと思う。 それでも自信過剰でナルシストな生吹を、島にいた女の子たちは慕っていた。 でも、なぜだろうと思う。 他にも生吹と同じ歳の男の子は二人いた。それなのに私がここに居る理由はなんだろう。 ふとセイを見ると、私たちを見て片方の口角を上げて笑っていた。 「安心しろ。こう見えてお前たちを信用してる。だからここに呼んだんだからな」 そうは言うが、先生も大尉も顔が強張っている。何か嫌な予感がしているに違いない。 「昨日の話の続きだ。新しいマイクロチップを手に入れる代わりにお前たちに頼みたいことがある」 「は?お前が頼み事?」 驚いた様子で大尉が言い返した。 「とはいっても俺の頼み事は規模が違う。ヘタしたら命の危険も伴うんでな、一応確認だ」 「どういう意味だ?」 先生も訝し気な表情で声を上げた。 「実は俺も本土に戻りたいんだ。そのための手伝いをして欲しい。どの道お前らも本土にもぐりこむんだろう?」
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