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しばらくして幸仁が部屋のドアを勢い良く開けた。
「大変だ!真尋が…変な奴らに連れていかれた!」
息を切らした幸仁がそう叫ぶと、大尉は慌てて部屋を飛び出していった。
先生は幸仁の肩を揺さぶり、 「どんな奴だった?どっちの方に連れていかれたんだ!?」そう訊いている。
「ボロボロの格好してて…痩せこけてた。4、5人いたと思うけど、みんなそれぞれ別の方向へ走っていったんだ」
先生はセイを振り返り、「心当たりはあるか?」と、訊いた。
「まさかお前ら、あの境界線を越えたか?」
セイは窓の外を指差した。
百メートルほど行った先に電線のようなものがあり、それを指差しているようにも見える。
「俺たちは行ってない。真尋はうろうろしてたから…もしかしたら越えたかも」
「ソミアは見てなかったのか?」
「俺たちに畑仕事を教えてくれてて、留美が真尋の事を見てて…その間に変な奴らが来たから……」
セイはため息を吐き、「じゃあ諦めろ」と、言った。
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