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「はあ!?諦めろってなんだよ!真尋はまだ5歳なんだぞ!?放っておけるわけないだろうが」
当たり前に先生は怒り、セイの胸ぐらをつかんで抗議した。煌鵺が止めに入ろうとするけど、セイは抵抗する気もないようで、先生にされるがまま壁にたたきつけられた。
「真尋がどこに連れていかれたのか言えよ!見当はついてるんだろ!?」
怒鳴りながらこぶしを握り、セイを責める。
それでもセイは怒る様子も怯える様子も無かった。
「あんた…この島をどういう場所だと思って来たんだ?安全な場所だとでも思ってたのか?」
セイの低い声が聞こえて、先生は振り上げたこぶしから力を抜いた。
「思ってるわけねーだろ。ここが危険な場所なのは分かってる」
「でも…俺の家にいれば安全だと思ったか?」
「それは…そうかもしれないな」
先生の答えを聞いた後、セイは笑い出し、壁に手をついて身体を支えながらソファまで歩くと、そのまま深く腰を下ろした。
「俺がこの安全を手に入れるためにどれほどの金を使ったか知ってるか?この土地を買って、無法地帯からこの家を守ってんだよ。あの境界線を出ればそこはもう俺の土地じゃない。誰が何をやっても法律で縛ることはできない」
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