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しかし、落ち込んでばかりもいられない。
明日もジャッジメントショーは放送されるし、おそらく明日も有罪判決が降りるだろう。
未来ある若者を危険から守ろうと立ち上げた番組だ。その裏でこんな問題が起きているなんて想像もしたことが無かったが。
「咲菜ちゃん。ママを救う手伝いをしてくれないか?ママの事を良く知っている咲菜ちゃんの力が必要なんだ」
鏑木がそう言うと、咲菜はためらいの表情を浮かべた。
「おじちゃんのところに…戻らなきゃダメ?」
どうやら引き取り先の夫婦と仲良くできないようだ。
「いや。これから俺とおじちゃんのところに話をしに行こう。今日から君はこの家で暮らす…その挨拶に行くんだ」
「この家で…暮らす……?」
戸惑いから目を泳がせていた咲菜だったが、鏑木が微笑むと、咲菜も安心したように微笑んだ。
「じゃあシュークリームを食べたら出発だ。帰りに洋服と…夕飯も買って帰らなきゃな」
鏑木はソファから立ち上がり、出掛ける準備を始めた。
日本は鏑木が思っているよりずっと穢れていた―――。
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