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今じゃ顔も忘れてしまったかつての男に、私は土下座して謝った。ムリです、と。
楓ちゃんが大丈夫って思うまで待つから、とか言ってくれたが、絶対ムリです、ごめんなさい∞、と丁寧にお断りした。
だから私は、未だにオタクの処女なのだ。操は一生守ろうと固く誓った事は、今でも覚えている。
でも、綺麗な男はもともと好きだったから、アイドルオタクからアニメオタクになり、ゲームオタクになった。
BL(ボーイズラブ)モノは好き。でも、Hな描写があの忌々しいグロキノコを思い出させるから、私は違う意味で満足できなくて、自分で小説を書き始めた。国語の成績がたまたま良かっただけで、小説を書くという事に関しては何の知識も無かったが、それなりに書くことが出来た。
恐らく漫画や小説を読むのが好きだったから、趣味が高じただけの結果に過ぎない。
BLでもとりわけ繊細恋愛ジャンル(私が勝手に名付けた)の甘々系で切ないラブストーリーを書いている。絵を描くのも好きだから、自分で綺麗な男をイメージして描き、作った本にイラストも付けている。
あくまでも上半身のみで、下半身は描かない。アレ(キノコ)は不要の産物だ。Hな描写、私の小説には皆無だが、それが新鮮のようで何故か受けている。
そしてコミケも好きだったから、買う側からいつしか売り側に変わって、早三年。
今ではBL界の巨匠とまで呼ばれ、その世界では有名である。
そんな私の話。聞いて下さい。
同じ職場の、やっかいなクソ男にBL作家だとバレてしまったのが、運の尽きでした——
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