レッスン1

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 夏がやってきた。夏。夏。灼熱の夏。  もやしのオタクには、辛い季節。何故なら、その熱で体力が奪われ、しおれてくたびれて溶けるから。  それより、今日はかねてから楽しみにしていた、夏のイベント(同人誌即売会)の開催日。  私は買い手の方ではない。出品者側だ。  何を隠そう、この私、南 楓(みなみかえで)、二十八歳(処女)は、名の通ったBL作家である。  BL作家やっていて、処女とはけしからん、とお叱りを受けそうだが、ちょっと聞いて欲しい。  というのも、私がBL作家に走ってしまったのには訳がある。  それは、三次元の男を愛せないからだ。  その昔、恋人とも呼べるような良く解らない関係の男と、つき合った事が一度(しかも一瞬)だけある。  好きだから付き合って欲しい、というから別に好きでもなかったが無下にも断れず、折角なので付き合いを決め、なんとなくで男女関係になりそうな雰囲気になり、いざ、身を結ぶその瞬間――私は、男の股間に生えている、この世のものとは思えないグロテスクなものを間近で見て、卒倒した。  しかもコレ××が、アレ××に入り合体なんて、おぞましくて無理・・・・――!!  
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