レッスン35

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  「でも、失敗だった。俺も後を追って行くべきだった。彼、声が大きいから、下まで会話聞こえてきたんだ。先生、アイツにキスされたんだよね? キスした事、謝らないとか何とか言ってたし」 「あ、あの、それは・・・・と、とりあえず入って。今すぐ」  俺が玄関先で怒りだしたら拙いと思ったのか、先生は部屋に招き入れてくれた。  これは俺が先生に手を出さないという安心からくる行為なのか、魔王は先生の部屋に入れてもらえず、告白しても門前払いでざまあみろ、先生の部屋に入れてもらえる俺の方がリードしているんだ、とか、様々考えが渦を巻いた。  しかし愚かなのは、結局フラれるのが怖くて、先生に好きだと言えずにいる俺の方だ。  でも、このレッスンバトルだけは、止める訳にはいかない。どんな悪者になったとて、先生を手放す事はできない。 「あの・・・・今日は、急にもやもや苦しくなって、ちょっと暑さにヤラれたみたいで、体調が最悪だったので、サスケ君――海の家の店主――に言伝して先に帰りました。ごめんなさい」 「体調が優れないのは仕方ないけど、でも、俺を置いて黙って帰る事ないだろう。きちんと言ってくれればちゃんと送って帰ったのに」  少しほっとした。森口さんに言われたことを、気にしているのかと思っていた。
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