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ボクは、リョウタくんがキライだ。
リョウタくんは、背の高い男の子。確か、中学生になった……はずだ。
ボクとリョウタくんが出会ったのは、もうずっと前。まだ茶色のランドセルを背負って、お気に入りの赤い帽子を被ってた頃だ。
昔は――いっぱい笑ってくれた。ボクに、色んなことを教えてくれた。
あの頃のリョウタくんは、学校から帰るとランドセルを放り投げて、毎日ボクと遊んでくれた。
公園や広場、河川敷の原っぱ、いっぱい走って、いっぱいじゃれ合ったのに。
ランドセルがリュックに変わった頃から、リョウタくんはあまり笑わなくなった。
前髪が長くなり、俯いて歩くことが多くなった。
それに、見上げると首が痛いくらい背が高くなっちゃって。もっと近くで見つめたいのに、ずいぶん顔が遠くなっちゃった。
最近は、ボクが話しかけても、返事もしてくれない。テレビか、掌の中のスマホばっかり見てる。
――だから、リョウタくんなんか、キライだ。
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