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3話 リチャードの隠し事
3、リチャードの隠し事
アリアが何度か眠れずに目を覚ますと、横を見つめてため息をついた。
いつも、決まって、この時間、リチャードの姿がない。
アリアは天井を見つめると
「どこにいったんだろう」
と呟いて毛布の中で一人溜息をつく。
妃を一人置いて、こんな時間に、外出とか、どうなのよ?
と思い、アリアは辺りを見回した。
綺麗なガラスのシャンデリアも電気がつかなければただのモザイク品ねと思いクスリと笑うと
バサッと毛布をはぎ取って起き上がった。
「何が、好きになる努力をしなさいよ! こんなの、どうやって」
そこまで言いかければ辺りを急いで見回しほっと溜息をつく・・・・・・。
『独り言、聞かれたら、また罰せられる、っていうより、何に私ったら、怯えているの? あんな男、大嫌いなんだから』
そう叫ぶと今にも泣きそうな顔で
「逃げ出したいよ」
そう呟いて俯いた。
なかなか帰って来ない、夫に業を煮やし、アリアは寝室から出ると近くの兵士に
「リチャード様は、どちらに?」
と聞ければ兵士が困り顔で
「これは、お妃様、陛下がどうされました?」
そう聞かれたのでアリアは不安そうに
「自室にいないのです、私が起きた時にはもぬけのからで」
そう言えば兵士が近くを通りかかった男性を見つめ
「ハルバート様、王妃様がご質問があるそうです」
そう言われてスタっと立ち止まった葵い若い髪の男性が振り返ると
「これは、アリア様、このような時間にどうされました?」
その問いにアリアが困った顔をした。
『この人、苦手なのよね、リチャードの幼馴染のようだし』
そう思うとハルバートに近づき
「陛下が自室にいらっしゃらないのですが、何かご存じありませんか?」
そう言えばハルバートは軽く咳込みすると兵士を見つめ
「私が後はやりましょう、さっ、王妃様自室で話しましょうか?」
そう言われればアリアは頷いた。
自室に戻ると扉を閉めてアリアを見つめてくる翡翠色の瞳にアリアは戸惑う。
「でっ、陛下がなんです?」
その問いかけは先程までと違い、かなりぶっきらぼうで、仮にも、この国の妃に対し
使う言葉ではない。
アリアが戸惑い2・3歩下がれば
「前から思ってはいたけど、あんたさ、あいつのどこが良い訳? 少なくとも、好きで傍にいるんじゃないんだよね?」
そう問いかければハルバートは
「あっ、ていうか、何処に居るかだったよね、君も知っていると思うけど、我が城の妃がふがいないから」
その問いかけは氷の様に的を入っていてアリアが俯けばハルバートに
「そんな乱暴な言葉使い、リチャードに知られたら、貴方こそクビになるんでは無くて?」
ハルバートが自信満々に
「そんな事あるわけない、とりあえず、この時間帯に抜け出されて、こちらも、困っているから、協力してもらった方が速いか?」
そう言うとアリアに
「当事者なのに、何も知らないのも、気の毒というもの、ついてくるか? これから、迎えに行くけど」
そう言われてアリアは頷くと部屋を2人で後にした。
見知った店に入るとハルバートに
「ここって、ヘブンズゲートじゃないですか? こんなところに、居るはず」
そう言えばふと思い出したようにアリアが困惑した表情を浮かべる。
そう、一夜限りの関係を持とうとした時、何故か、リチャードがここにいたからだ、アリアが不審そうにあたりを見回すと
「これは、ハルバート様、オーナーに何か御用ですか?」
と問いかけられたのでアリアが思わず
「オーナー?」
と問いかければハルバートが頷くと
「リチャードは、ここの経営者だよ」
そう言われて唖然とした。
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